[遊びは酒の栄養]
佐古町は徳島駅から西へ十数分、古来より伊予街道と讃岐街道の分岐点である。。徳島市の中でも、昔から、味噌、醤油、酒等の醸造の町として栄えていたようで、戦前までは町内に酒蔵が街道にそって十六軒も軒を並べていたという。そんな街道も国道となって道路を拡幅し、今ではこの斉藤酒造場だけになってしまった。 徳島県には大きく分けると二つの水系がある。石鎚山を起点とする吉野川と剣山を源流とする那賀川や勝浦川、鮎喰川である。そのうち徳島市の中心部に於いて吉野川と鮎喰川は合流する。ここ佐古地区の水系は四国西部の石鎚山から流れくる吉野川水系ではなく、四国東部の剣山を源とする鮎喰川系の伏流水。この川はその名の当て字の由来のひとつでもある鮎の産地としても名高い清流である。現にすぐ近くには徳島市の上水道の配水ポンプ場があった。今でも佐古町の真ん中には「蔵清水」と呼ばれる町の共同の取水場(いわゆる井戸)があり、近所の方に昼夜を問わず飲用水として利用されてる。吉野川をモチーフとした「運河の都 徳島」の中にあって、この辺りは水系を異にした「飲み水の中心地」だったのかも知れまない。そんな由緒正しい土地も、今では徳島市の市街地になってしまい、この蔵の隣はファミレス店やファーストフード店が乱立し、ちょっと賑やかすぎになっていまった。 「自分が面白いと思えるニュータイプの酒を造ることに挑戦します」と言う『斉藤酒造場』の3代目・斉藤さんは、バリバリの青年社長。現代っ子らしく、40歳すぎても独身ですが、まだまだ落ち着きたくないのか、オフには「遊んで」いやもとい「しぶとく青春を謳歌して」いるようです。昔の造り酒屋さんでは「芸者遊びは酒造りのこやし」と言われていたようですが、現代っ子にしたら「遊び」とは昼間のカヌーや海釣りを指すそうです。そんなことでは日本の飲酒文化がなくなるぞ・・・と心配するものの、隣で目を光らせている先代の前で「もっと夜遊びしろ」とも言えんですのですが、いや、失礼、それはそれで十二分にしてるか?してるよな。(笑)
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「今も生活に使われている蔵清水」
今も生活に使われている蔵清水
「佐古配水場」
佐古配水場
「国道に面する蔵の正面玄関」
国道に面する蔵の正面玄関
「今では貴重な伝統的な「槽(ふね)搾り」である。」
今では貴重な伝統的な「槽(ふね)搾り」である。
「奥に広いために、蔵よりも隣の牛丼屋の方が目立つ。」
奥に広いために、蔵よりも隣の牛丼屋の方が目立つ。
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